平成14年1月29日放送
今年の展望

 本日は、市長室から今年最初のおはようロマンメッセージをお送りします。今年の元日は私をはじめ三役、教育長、市職員を含めてカラ岳陸上で今年最初の日の出に手を合わせてきました。もちろん、石垣市の発展と市民の幸せを心から祈るとともに、そしてこのカラ岳陸上で新石垣空港が無事に予定どおりに着工できますように、心を合わせて祈願してきた次第であります。大変穏やかな日の出であり、白保の海上に上ってくる太陽の光を私たちはほんとうに神々しく感じてきたところです。
今日、日本の経済状態はまさに重体というべきでして、完全失業率がすでに五・数%を超えており、沖縄県では十%を超えているだろうと言われています。このようの中で経済をどうするか、雇用をどうするかということが二〇〇二年の大きなテーマになるのではないかと思います。

 日本はいま、成熟経済という状況に入っており、実質的に高度成長という時期は過ぎ、今日経済成長が一〜二%、場合によってはマイナス成長ということを経済の専門家は予測しております。この十年間はおそらく経済成長がいくら伸びてもせいぜい二%弱だろうというふうに言われており、これは経済の専門家あるいは研究所等からも常々言われている数値となっているわけです。
それでは今、どのような国々が経済成長を遂げているかというと、隣の中国などが一番良い例だと思います。中国大陸では安い労働賃金、広い国土、豊富な資源を使って経済成長率が常に十%を維持しており、おそらくこの十年ほどは、特にオリンピックをはさんで中国の高度経済成長はいくらでも伸びていくだろうと予想されております。このように安い労働賃金と広い国土と資源があると当然企業は次々と中国に行くようになり、いま台湾あたりでもまったく日本と同様に企業が中国大陸に移動して空洞化がおきております。
当然、そこには失業者が発生し、台湾も日本と同様に失業率が五%を示しているということです。経済成長がすでに成熟した国においては、様々な高失業率、経済成長の鈍化という現象が起きております。このような中で、今日本は様々な構造改革を断行して、そして新たな衣あるいは土台のもとで経済成長を図るべく聖域なき改革ということで、どの分野でも行われています。
ところで、今世界の人口は六三億人と言われ、百年前の一九〇〇年頃にはおおよそ一六億人であったわけですから、今約四倍近くに増えているわけです。さらに二〇五〇年には、百億人を突破するものと予想されています。世界が爆発的な人口増加の状況にある中で、日本は二〇一〇年頃に入ると、人口はピークに達し、その後はだんだん人口減少を迎え、逆にいうと高齢化が加速していくということが言われています。すでに一九九七年の時点で六五歳以上の高齢人口が初めて十五歳未満の子どもの人口を上回りました。今後も高齢者の増加と子どもの減少が続き、二〇二五年には高齢者人口が子どもの人口の二倍になると言われています。
そうなりますと、先進国の急速な高齢化の進行により、労働力人口の減少、医療や福祉需要の増大、年金の危機、家族の崩壊あるいは将来への社会不安などの現象が起きてくるというふうに思われます。経済成長率の鈍化と人口の高齢化により、労働力のミスマッチという問題が顕在化してくるわけです。頭脳化、あるいはソフト化、サービス化へと業構造の変化に伴って雇用の流動性が高まり、労働力の質的な摩擦も出て、失業者も増大し、失業率が五%を超えるのが普通になるものと思われます。
そして、高齢化社会を向かえて医療や福祉等の財政需要が当然増え、後は、GDPに対する税や社会福祉の国民負担率は高まり、一九九五年の四〇・五%から二〇二〇年にはさらに大幅に増大することが予想されております。経済成長が鈍化する中で医療や福祉の増大は典型的ないわゆる先進国病の症状と言われています。これからの日本の高齢化社会あるいは少子化社会に対し、私たちは本当に真剣に考えていく必要があると思われます。

 さて、一昨日、市民会館中ホールで石垣市の二十一世紀の経済をいかに活性化するかというシンポジウムが開かれました。流通やIT、観光関係あるいは農業や水産業のそれぞれの分野で活躍されている専門家の方々が、石垣市の経済の振興について大いに話し合いをしてくださいました。シンポジウムという形式もあってあまり時間が十分になかったため、総論的な話しかできなかったわけですが、今日、どの市町村でも経済振興をどうするかということが大きなテーマとなっています。
シンポジウムをとおして感じたことは、やはり大きな経済成長の原点として「無」から「有」を生み出すという発想が大事で、それにはどうしても第一次産業の健全化に目が向けられます。農業や水産業、畜産業を大いに振興させ、その上で自然や様々な環境等が守られて、文化がしっかりと根ざし、その上に多くの観光産業や様々な自然を相手とした大きな経済成長があると思われます。今後は、土木建設工事も自然再生型、又は自然をとりもどす工事が必要となるでしょう。
いま、石垣市は大変幸いなことに人口が増加しており、また昨年二〇〇一年の石垣空港の利用者数は前年の一四〇万人を超え、一四三万人を突破しました。もし、九月のアメリカでのテロ事件がなければ、利用者は一五〇万人に達したと予想されます。そういうなかで、大変魅力のある島、住んでみたい島ということで、大勢の人が訪れているということは、この島は将来性があり、あるいはすごい勢いがあり、元気があるというふうに思われます。

 このように、人の集まるところに経済活動は大いに進展するのであって、私たちは今後とも観光による人口の誘導、あるいは人口の増加等を図りながら、大勢の観光客を大切に迎えることが、観光立市宣言を標榜している石垣市にとっても将来、経済自立へとつながる大きな道ではないかと思います。観光を振興させることによってリゾートホテルの建設が進み、土木建設が活気を増します。また、特産品であるところの商工業が大いに発展し、農業の振興が図られ農産物等の生産拡大があり、水産業においても多くの食料生産等が進むことになるわけです。

 石垣市は、幸いなことに海の保全が進められ、養殖業業等も盛んであります。また、国際農林研究所や西海区水産研究所、それに栽培漁業センター、県の水産試験場や農業試験場等があり、多くの研究者や学者もたくさん住んでいる大変ポテンシャルが高い街だと思います。そういう意味で石垣市の第一次産業をしっかりと大事にして、今後とも街の将来をしっかりと見据えていきたいと思います。そのためには、流通をいかに良くするかが大事で、そして新石垣空港の早期着工は当然のことと思います。
さらに、先般、台湾の花蓮港と石垣港が姉妹港を結びました。当然、貿易等を進めていきますが、三時間位で双方が往来できる高速観光船を導入できないかを今模索しているところです。隣の国、台湾は大いに経済成長を遂げ、成熟経済に入っている国であります。すぐ近くにこのような大きな経済圏があることを念頭におきながら、石垣市は国際交流を進めていく必要があると思います。
二〇〇二年になって思うことは、二十一世紀こそ人々が平和を強く求め、平和の世紀として念願、あるいは希求してほしいということです。先般、ポーランド共和国のイエジ・ポミャノフスキ大使が石垣市においでになり、世界平和の鐘の鐘打式に参加し、また平和講演を行っていただきました。ポーランドという国はよく知られているとおり、第二次大戦においてナチスによってまさに民族虐殺が行われたところです。今では、平和を取り返し、歴史や文化が花咲く平和なよい国となりましたが、悲惨な歴史を背負ったポーランド大使の訴える平和への願いは、まさに切実なものがあると感じました。いま、日本の平和憲法がいかに大事かということを私たちは十分に認識しながら、この二十一世紀が平和で明るい世界であるように強く念願する次第です。

 一月の市長室からのロマンメッセージは今年の展望を多少述べましたが、何としても石垣市は亜熱帯の農業や水産業の行える島、国境の島として地理的な有利性等を生かしながら、自然や歴史、文化をしっかりと守り、二十一世紀を豊かで明るいまちとして歩んでいきたいと強く願う次第であります。
以上で、終わります。

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