72.ヌスクマーペー(野底マーペー)


野底マーペー〔平成21年9月〕

 石垣島をドライブしながら野底付近にさしかかると、一際目につく山が見えます。その山は、野底岳ともいいますが、地元では、古くからヌスクマーペー(野底マーペー)と呼んでいます。
 ヌスクマーペーは、海抜282.4メートルで、頂上に巨岩がそびえ立ち、特徴的な山容を形成しており、野底富士との別名もあります。
 その名のいわれは、マーペーという女性の名からきています。
 伝承によりますと、古く、黒島から野底に寄百姓(政策的に人口の少ない村や新しい村へ百姓・農民を移住させること)させられた人たちがいて、そのなかにマーペーという女性もいたといわれ、そのマーペーは、望郷の果てに石に化したという伝説が残されています。

   ヌスクマーペーの伝説

 黒島に住んでいたマーペーという女性が、思い叶わず野底に移住させられ、恋人のカニムイと別れて暮らすことになりました。しかし、離ればなれになってもマーペーの思いは、ますます募るばかり。せめてカニムイの住む黒島を望みたいと思って野底岳に登りましたが、黒島は於茂登岳にさえぎられて見ることができず、マーペーは、そこに泣き崩れ、とうとう、そのまま石になってしまったという話です。  その伝説は民謡ともなり、「チィンダラ節」として今日でも歌い継がれています。
 また、関口宏が作詞し、ヒデとロザンナのヒデが作曲し、小柳ルミ子が歌って昭和52年(1977)にヒットした「星の砂」は、この伝説をモチーフに作られたといわれています。


文:松村順一
写真:大田将之
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