H28移動展/大津波プロジェクト

更新日:2020年07月30日

「津波により被災した文化財の保存修復技術の

構築と専門機関の連携に関するプロジェクト」

ワークショップ

1月20日(金曜日)、石垣市平得公民館2階ホールにて、岩手県立博物館を中核館として
 実施している大津波被災文化財保存修復技術 連携プロジェクトの一環として、
  「保存修復に関するワークショップ」が開催されました。

  2011年3月11日の東日本大震災では、大切な生命や家屋のほかに、多くの文化財も
 被災しました。岩手県に限っても、少なくとも70万点以上の文化財等が被災し、岩手県
 太平洋沿岸部に所在する主な博物館及び関連施設12館のうち、8箇所の博物館、水族館、
 図書館がほぼ水没しました。水が引いた施設には、車や家屋等も流れ込んでいました。
  岩手県立博物館に陸前高田市教育委員会から『吉田家文書』および関連文書の救援
 要請が出されたのは、2011年3月30日のことでした。

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      はじめにプロジェクト実行委員会長である、岩手県立博物館長、高橋氏から主催者挨拶。
     2011年3月30日以降、県の被災資料の安全な場所への救出を目的とする1次レスキューと
     救出された資料に対する安定化処理の実施と経過観察を目的とする2次レスキューの陣頭
     指揮をとったのが、岩手県立博物館でした。
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      同じく主催の日本博物館協会の半田氏、共催の八重山博物館館長による挨拶が続きました。
    このプロジェクトのワークショップは、山梨県立博物館、陸前高田市立博物館についで3館目となります。       
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      保存の専門家、岩手県立博物館主席専門学芸員である赤沼氏から、「被災文化財の救出と再生」という
    講義を受けました。『阪神大震災の際は、安全な場所に移す1次レスキューが重要でしたが、東日本大震災
    では、津波の被害が大きかったため、塩水や汚泥の除去、カビや腐敗を防ぐ等2次レスキューが必要でした。
    2月は10度以下と気温が低く、真菌や細菌の繁殖による文化財の劣化については、それほど気になりません
    でしたが、それでも4月には、カビの発生が見られました。被災地に冷凍庫を無償貸与していただけたため、
    それ以上の生物学的劣化は防げました。』
      これが石垣市であったらどうだったでしょうか。1番寒い2月でさえ20度を越える日が殆どです。
    食料品や医薬品の保存のために準備される大型冷凍庫を文化財保護のために使うことは可能なのでしょうか。
    そういったことも含め、石垣市でもしっかり準備することが大切なのだと思います。  
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      午後からは、実習ということで、まずはじめは、1「被災紙製資料の安定化処理方法」、
     次に、2「被災民俗資料の安定化処理方法」を体験しました。先生方のお話に続いて、実習を行いました。     

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      紙製資料には、古文書、教科書、紙芝居等があり、これらは海水に巻き込まれた様々な物質を含む
    大量の土砂が固着しているほか、海水による大量の塩分も含んでいました。和紙に墨で書かれたものは強く、
    洗っても、簡単に消えることはないそうです。紙製資料は、資料の状態やインクの種類等によって水洗の
    可否を選別することが第一段階なのだそうです。
      実習では、不織紙により保護をした和紙を水の中で、刷毛を使って洗浄しました。塩分濃度を測り、超音波
    洗浄処理を行いました。ここまででも注意深く、かなりの時間を費やしましたが、実際にはこの作業を何度も
    繰り返し、脱脂、除菌を行い、水分除去し、さらに内部残留土砂の除去を行い、予備凍結させるのだそうです。     
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       被災民俗資料ということで、金属資料の汚泥を落とす作業を行いました。あまり強く磨くことも出来ず、
     しかし力を入れないと元の金属の色は見えてきません。サビなのか、土なのかが分かりづらくて、力の入れ
     具合に苦労しました。試行錯誤を繰り返しながら、こういった作業を続けていらっしゃるのだと思います。
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      石垣島は、海に囲まれた小さな島です。1771年の明和の大津波で全人口のおおよそ半分が亡くなり
     ました。ワークショップでは、ほんの少しでしたが、保存のためのレスキューを体験できました。地震や
     津波の被害に遭うことはもちろん避けたいですが、実際に来てしまったら、人命を守りつつ、文化財を
     救わなければいけません。
      被災資料を救出する意義として、次の4つが挙げられます。
     1地域に伝わる貴重な自然遺産および文化遺産の保存と継承。
     2地域における文化活動(博物館機能等)の再生。
     3地域が日本の歴史、そして世界の歴史の中で果たしてきた役割の再検討。
     4類似する新たな自然災害発生時における活動資料の提供。  
      
       『津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会』
     スタッフの皆さん、特に岩手県立博物館、陸前高田市立博物館、東京国立博物館の皆さん、お忙しい中、
     本当にありがとうございました。