H29-9移動展「下田原貝塚出土品展」

更新日:2020年07月30日

平成29年度・沖縄県立埋蔵文化財センター移動展
「下田原貝塚出土品展」期間 : 平成29年9月1日(金曜日) ~10日(日曜日) 
会場 : 八重山博物館特別展示室


下田原期の文化を代表する下田原貝塚からは、土器や石器と共に獣骨、魚骨、
貝殻を利用した各種の製品などバリエーションに富んだ遺物が多数出土しており、
八重山における先史文化を考える上で非常に重要であることから、沖縄県指定有
形文化財(考古資料)に指定されています。
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これらの出土品は、沖縄県立埋蔵文化財センターで保管され、現在は、その一
部を同センターおよび沖縄県立博物館・美術館で常設展示されています。
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  本移動展は、下田原貝塚が所在する八重山諸島の波照間島で、里帰り展示を行う
と共に、広く公開する目的で八重山博物館においても移動展を開催いたしました。
展示会の内容をご紹介します。
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 下田原貝塚は、八重山諸島の波照間島の北岸にあり、下田原期に位置づけられる遺跡です。
年代は、放射性炭素年代測定により、今から約3800年前という結果が得られています。
 中に入ると、はじめに、八重山諸島の考古学編年と文化圏について、波照間島の遺跡につ
いての説明がありました。
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  次は、下田原貝塚について、遺跡近景や調査状況、堆積状況、溝状遺構、柱穴・炉跡検出状況の写真と説明が
ありました。この中で、当館館長が30数年前、大学生の頃に頃に発掘調査に参加した体験を「下田原貝塚の
思い出」ということで紹介していました。波照間島の熱暑の中での調査、台風後の下田原式土器の出土、食料の確保
の問題等、過酷であるとともに、非常に有意義な時間であったことが想像できるコラムでした。
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 ガラスケースの中には、左から、食料とされた動物の骨や貝類、貝・骨製品、右の写真には石器、土器が
陳列されています。

 魚やイノシシなどを食べ、貝や動物の骨で作った利器や装飾品を作り、様々な形の石斧やドリルなどの石器を使い、
ウシの角に似た突起をもつナベ型の土器を製作していたことがわかります。

 また、波照間島で石器の原材料がとれないこと、食料としていたイノシシが棲息していないことから、遺跡の約
25km北方に位置する西表島や石垣島から持ち込まれた可能性が高く、対岸の西表島と頻繁に往き来していた
ことがわかります。出土する石器の中に、ノミ状の片刃石斧も含まれることから、舟を製作していた可能性が示唆
されます。
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 下田原式土器は、下田原貝塚を標識とする土器で、現時点で八重山諸島と多良間島に限定して出土しています。
この土器は、南方からの伝播が想定されていますが、今のところ、明確な関連性が見出せず、詳細は不明です。
 右の写真は、石垣島の大田原遺跡とピュウツタ遺跡で出土した下田原式土器です。コップ型や深鉢型など様々な
形の土器が出土しています。
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 今回の移動展で盛況だったのが、下田原式土器のペーパークラフトコーナーです。大人も子どもも集中して、
丁寧に、1時間以上かけて作る方もいらっしゃいました。子ども達だけで展示を見に来て、ペーパークラフトに
夢中になっている子もいました。

 今回の移動展は、特に波照間島出身の方が、興味深く見ていらしたようです。30年以上前の発掘調査に
お母さんが参加された方もいらっしゃいました。60年以上前、最初の発掘調査が始まる前の様子を語って
くださる方もいました。身近な遺跡の出土品をはじめて見たとおっしゃる方もいました。
 下田原貝塚出土品の里帰り移動展は、大人だけでなく、子ども達にも興味をもってもらえました。今回の展示
会をきっかけとして、子ども達の中から、考古学を志す人が現れるかもしれません。研究が進み、新たな事実が
見えてくるかもしれません。大いに期待したいです。