「津波防災の日」「世界津波の日」に思う

更新日:2021年11月09日

 11月5日は「津波防災の日」「世界津波の日」です。「津波防災の日」は、東日本大震災発生後の2001年6月に制定された「津波対策の推進に関する法律」で定められ、さらに「世界津波の日」は、津波の脅威と対策への国際的な意識向上を目的に2015年12月の国連総会において採択された国際デーです。

 10年前に発生した「東日本大震災」に世界中の人々は、ニュースの映像等で伝えられる悲惨な現状を目の当たりにし津波の脅威に震撼しました。

 石垣市には、250年前に世界でも最大級の津波「明和大津波」が襲来し当時の石垣島住民の半数近い9千人余の住民が、先島全体では約1万2千人の人々が犠牲となる悲惨な史実があります。また過去には石垣・宮古島周辺の島々で、建物や人的被害をもたらす規模の津波が、150年から400年の周期で起きていたことを地層調査等で確認したと東京大と東北大のチームが発表しています。

 明和の大津波から250年が経過していますので、現在はその周期内に入っていると言えますので、いつ津波が襲来しても不思議ではないと思います。

 石垣市では「明和大津波」により未曾有の被害をもたらした地震・津波災害の歴史的教訓及びその先人の伝承に基づき蓄積してきた知識を風化させることなく、後世に継承し、安全で安心なまちづくりを推進するため、毎年4月24日を「石垣市民防災の日」と条例で制定し、これから発生するであろう大津波に備え津波襲来時には、市民、地域、公的機関が迅速・的確に対応して一人の犠牲者もださないことを目標に防災減災事業に取り組んでいます。

 石垣市の防災対策の最重点項目は、迫りくる危機を市民へ迅速に伝達することです。「全国瞬時警報システム」通称JーALERT(アラート)という災害時に災害対象地域の住民へ警報を発する国のシステムがあります。本市では、各携帯電話会社とエリアメールの契約を締結しております。エリアメールは、Jアラートと連動し、石垣市内にて携帯電話を保持している市民・観光客等来訪者すべての携帯が「緊急地震速報」等を瞬時に通知します。また、防災行政無線・防災ラジオ等が同時に迫りくる危機を伝達するシステムが構築されています。市民の皆様には、Jアラートなど警報を確認した時にどのような行動をとれば命が守れるのか、訓練等を通して常に考えて頂きたいと思います。

 本市の特徴として、島嶼県の更に島嶼市であり、地続きでの隣接市町村が無く迅速な支援が望めず単独で対応に当たる時間が他市町村より長時間になるということです。 そこで本市では、食糧等災害時用品の備蓄を重点課題として取組んでいます。現在、市中央運動公園備蓄倉庫をメインに北は平久保備蓄倉庫、西は川平備蓄倉庫、東には宮良・白保・大里と備蓄倉庫を設置してあります。また、今年度中には、中央運動公園に備蓄倉庫を増設するとともに津波災害時に孤立が予想される星野とりなき山・伊野田番屋・金比羅に防災備蓄倉庫を設置します。                        市民においては、家族が一週間凌げる分の食糧・水を家庭内備蓄して頂きたいと講演会等ではお願いしています。

 石垣市では、災害対応の基本である「自分の命は自分で守る・地域は地域で守る」の観点から地域防災力の強化に取組んでいます。その中心となるのが、自主防災会の活動ですが、組織運営が困難な現状の組織があります。その原因として、各地域に防災リーダーとなれる防災意識の高い人材がいないことが指摘されています。そこで本市では昨年から防災士の養成に取組んでいます。市が費用を負担し防災士の資格を取得してもらい各地域の防災リーダーとなって地域防災力の向上に努めていただきたいと考えています。

 市民の皆様には、防災士資格取得へ積極的に挑戦していただき共に津波の脅威と防災減災の知識について学び合い、それぞれの地域において、防災リーダーとして活躍していただ ければ、幸いに思います。

 市民、地域、公的機関が連携し、災害に強い石垣市をつくりましょう。

 2021年11月5日     

 石垣市役所 総務部 防災危機管理課 課長 大濵 武